テーマのある旅

体験談

兵庫県 オー・コアン・デュ・フー主宰 冨樫様

北アフリカのモロッコツアー(お料理編)

オフィスBe-aスタッフより

兵庫県宝塚市「オー・コアン・デュ・フー」を主宰されている
冨樫信子先生によるモロッコ料理教室の体験記です。

モロッコのスパイス・ボックス

17日間滞在したモロッコ。後半はひとりで料理教室に参加してきました!
フェズの人気カフェベルベル村のご家庭高級リヤド、と3ヶ所でレッスンを受けました。
どれもたいへん魅力的でした。一端なりともお伝えできればと思います。

彷徨いの迷宮都市フェズ:「Café clock」料理教室  ~1日目~

旅の本には必ず掲載されているCafé clock。
ブージュルード門から入ると左手側Talaa K’bira通りへ進みます。八百屋さん、肉屋さん、パン屋さん、荒物屋さん。魅力的で何ひとつ見逃せない通りです。少し歩くとwater clock of Fesの向かいに小さな入口が見えてきました。

10時集合・時間厳守です。
お店に入ると「Hi! Nobuko!」。眼鏡をかけた赤ら顔のMr.がオーバーアクションで迎えてくれました。すでにアメリカ人母娘とカナダ人男性がcoca-colaで歓談中。遅れてイギリス男子&オーストラリア女子登場で6名になりました。

お店の人に「今日はフランス語は駄目」と言われ、共通語は英語になりました。
久々のアメリカンイングリッシュシャワー。
聞き取れません、頭痛いぃ~。
「適当にしよう、料理を習いに来たんだから!」と、開き直りました。

まずはミーティング。何を作りたいかレシピーから選びます。
が、「今日は人数が多いからあれこれ作ろう~」ってことになり盛り上がります。
これがあとでアダになるのです(笑いですよ)。

この教室のポイントは市場へ買い出しに出かけること。
カフェを出ると地元民御用達の市場です。肉・野菜・ハーブを買いながら市場の話を聞きます。
お肉は前日の夜中に処理するので新鮮だそうです。肉に押してある印鑑で鮮度を確認。
<緑:新鮮(上) 青:新鮮(中) 赤:早く使うこと>という意味だそうです。

ラクダの頭がぶら下がっているお肉屋さんは観光客に大人気!
慣れておられ写真も暗黙の了解(たいてい断られるので要注意)。

鶏屋さんは店内で飼っているのを「バッサリ」。水につけお湯につけバンバンバン。あっと言う間に、モモ肉・胸肉となっていました。

卵のリヤカー、何百個積んでいるのかなぁ~。よれよれのシャンツァイにミント売るの、これ?
日常雑貨に化粧品、ごちゃごちゃが楽しい市場です。

買い出しが終わると「Café clock」に戻ってエプロンをつけていざ調理!みんな手際良い。大雑把だけど(笑)。

タジンはチキンと羊を作りました。タジン鍋でどれくらい時間をかけるのか…
延々と煮込むと思いきや、「圧力鍋」です、皆さま!この時、私の疑問が解けました。
レストランで注文して、それほど時間がかからず出てくるのが不思議でした、ず~っと。

聞けば「タジン鍋じゃ時間かかりすぎるし、鍋はすぐに割れるから」。
やっぱり(笑)、ガッテンガッテン!レストランも家庭も圧力鍋で!これが今回の旅の成果の一つです。
(ただし、これが全てではありません。お店の形態や具材等によります。)

作り始めて何時間?3時を過ぎてもまだ出来上がらず宿替えの私はテイクアウトして一足先に退散です。夕飯の折に試食しましたが、ちょっと味が足りない感じでした。今日の女性シェフは「塩をあまり使わない」。通訳の彼が話していたのを思い出しました。

★料理教室の受講料:660DH
(レシピー冊子付・講習中ドリンクサービスあり)
現金払いのみですので気をつけて。

本日の簡単レシピー

モロッコは野菜や果物が豊富でたくさん使います。香辛料は使い方にルールがあるようです。
ジンジャー・パプリカ・クミン・チリ・コショウ…。全て粉を使用するのもポイントです。

■ Checkchouka(前菜)の作り方

  1. 焼きピーマン4本~5本を1cm角に切る
  2. トマト4個を1cm角に切る
  3. クルジェット(ズッキーニ)2本を1cm角に切る
  4. ニンニク3~4かけをみじん切りにする
  5. イタリアンパセリとコリアンダー(香菜)各一握り分をきざむ
    その他、塩・コショウ・クミン粉・パプリカ粉・塩漬けレモンの皮1個分(あれば)・塩漬けレモンの果肉少々(あれば)を用意する。
  6. フライパンにオリーブオイルをいれて温めピーマンを2分ほど炒める
  7. 野菜と香辛料各少々をくわえ弱火で15分ほど炒め煮する
  8. 水気が無くなりとろりとした状態になれば塩漬けレモンを加え、味を調えてできあがり!

パンに添えて召し上がれ。

彷徨いの迷宮都市フェズ:「Café clock」料理教室  ~2日目~

今日はどんなメンバーだろう!ワクワクしながら行くと、「Hi! Nobuko」と既にお友達のように親しく迎えられました。
そこへ素敵な「ご夫婦?父娘?」が現れ、握手。穏やかな英語でまずは一安心。オランダから来られたそうで父娘とのことでした。

今日のシェフは「ベテラン主婦タイプ」。オープンマインドで明るいこと!
英語もフランス語も解りやすくて今日は穏やかに時が流れる予感。

ここの教室は基本「前菜・メイン・デザートの3品」を作ります。
昨日ほとんどのレシピーを作ってしまったので先生はお困りモードでしたが、ベテランは違います。
機転を利かせ、3品をチョイスしメンバー納得で買い物へ。

2回目の私はすでにベテランの域でしてお買い物のお手伝いも。
食材のつまみ食いや化粧品の試供も体験しました。人数はほどほどがいいですね。

今日は全てがスムーズでした。シェフは最後に「テスト」と言って、サラダに使用したスパイス、タジン鍋に使用した野菜とか質問をしてきます。「覚えてないと食べさせないよ~」っとあくまで陽気です。
時間通りに出来上がり、屋上テラスで頂きました。味はしっかりしています。
流石にベテラン主婦タイプの先生でした。

毎回、レシピー冊子をいただきますが作っていないレシピーもあるので嬉しいです。
アンケート用紙が配られ、内容や味、時間等細かく記入欄が分かれています。
昨日の印象を正直に書いた為か、今日との違いを聞かれました。
私が料理を教えていることを伝えていたので気になられたのかもしれません。
「私は塩辛いのは嫌だけれど味のバランスは必要だ」と伝えました。

実にフレンドリーな雰囲気で楽しい教室でした。今は販売していないというエプロンを「お願い、売って~。思い出に~!」っと頑張り、汚れているので値段交渉。
アラビア文字で何にもわかりませんが店のロゴ入りエプロンをゲットしました。
新品は260DHのところ、ねばって180DHにしてもらいました。

2日間の教室はあっというまに終了です。
お料理の先生やお店のスタッフと気軽に話をして、ほんの少しだけれど日常を知ることができました。
フェズ、またいつか訪れたい街となりました。

OMAKE

新鮮な果物に、はちみつ、オレンジウォーター、ミント、ジンジャーを合わせるだけでモロッコなデザートになりますよ。お試しあれ。

ベルベル村での家庭料理教室

アッサラーム・アレイコム(こんにちは)。
今日はモロッコの先住民、ベルベル人宅での家庭料理教室です。

マラケシュ郊外へ車を走らせること30分。田舎、土ぼこり、ロバ車、低い土塀の家々。いきなり世界が変わった感じです。のんびりゆっくりした村の景色…

車を降りて「ロバ車」に乗り換え一軒のお宅にお邪魔しました。
門をはいるとレモンの木が中央に植えてあります。

そして土間へ。お母さん、娘さん、二人の息子さんとご挨拶。
まずはミントティーのおもてなしを受けました。
娘さんはパリで料理人をしていたそうですがお母さんが体調を崩し戻ってきたそうです。

今回は私ひとりのマンツーマン教室です。先生はお母さんと娘さんのお二人で贅沢~。
選んだのは「トリッド・コース」。
モロッコ人の朝食やおやつに出てくる、「ムスンムン」というモロッコ版クレープを習いました。
水が貴重な場所ゆえですね、いたってシンプルな作り方です。

粉と塩と少量の水をテラコッタの平たいボウルで合わせます。丸めて休め、のばしてベンチタイム。とても丁寧です。

お母さんがペットボトルを上下にガシャガシャ振っています。羊のミルクからバターをとるのだとか。
長い時間振っておられたな…。とれた残り?の液体がまさに脱脂乳。ヨーグルトのホエーのような味でした。

この間、娘さんは「チキンソース」を用意しはじめました。こちらも「圧力鍋」です。
ここの乾燥した土を見ていると当然のことかと思います。とてもとても水を大切に使っていました。

材料は鶏肉、赤玉ねぎ、トマトとオイル&水、スパイスはジンジャー粉・サフラン粉・コショウ粉・にんにくプレス・シャンツァイ生。
彼女はトマトを「おろし器」でしゃしゃっと調理していて目からうろこ。「これ、いただき!」っと思いました。家庭ではこれでいいですねぇ~。この日の「チキンタジン」は圧力をかけず煮ていました。
彼女曰く「鶏肉は時間がかからないから…」。

ベンチタイム終了。お父さんお手製の「かまど」で、のばした生地を一枚ずつ丁寧に焼いていきます。
この時はお母さんが焼く係。火の前は暑いのでたいへんです。時折、ふいごで火おこしをしてステキ…
たぶん30枚は焼いたかな~。

きれいに焼いた丸いパリパリクレープをなんと丁寧に折りたたんで長方形にしてから、ちぎるのです。
バリバリ細かく…
何するんだろう?わかりました!大きなテラコッタの器にちぎったムスンムンをたっぷり広げ、その上にチキンソースをたっぷりかけて、できあがりとなりました~。シンプルです。

前菜に「ゆで卵のオイルがけ」「ブラックオリーブ」「ひよこまめ」と便利ザルに紙を敷いて日常食のパン「ホブス」を用意しました。

昼食のお時間、やおら「お父さん」登場です。皆で食卓を囲み家長からいただき始めるあたりまえの風景。日本だとさしずめ「ひとつ鍋を囲む」ってところでしょうか。手間暇かけたムスンムンなのに男性陣は「あっ」と言う間に食べ終えていたのが印象的でした。

食後はアラビアコーヒーに例のミルクをいれ、モロッコの美味しいピーナッツといただきました。
ストレートより飲みやすいかな。
こちらのお宅では、「ミントティーは朝の飲みもの、コーヒーは午後の飲みもの」とのことでした。

静かな午後はエンドレスなかんじですが、これで料理教室終了です。
美味しかった~。シュックラン(ありがとう)!

車で30分、マラケシュの街にもどるとそこは喧騒のただ中です。
どちらが異空間というわけでなく人々の生活が営まれています。

★料理教室の受講料
トリッドコース:1グループ 2200DH

感じたこと

家庭料理はシンプルで優しい。
いつも通りに作る。
つねに女性は働いている。

高級リヤド「Le Riad Monceau」でのお料理レッスン<les ateliers de cuisine marocaine>

マラケシュに戻り、ひとりになった私は予算の関係上、小さな宿に連泊したのですが、
今日お料理の講習を受ける「Le Riad Monceau」は目と鼻の先にありました。

入り口前の通りは2メートルもない細い道で庶民でごったがえしています。こんなところに高級リヤドがあるなんて驚き!
おそるおそる狭い道を進むと突き当たりに扉があります。
「ここで良いのかしら?」と思いながら入るとスタッフが中庭へ案内してくれました。掃除が行き届いて明るくて静かで心地よい噴水の音がします。まずは「ミントティー」でほっこり。

もうひとりの生徒さんを待つものの連絡がないため、先に始めることになりました。
エプロンをお借りして厨房へ。
宿泊の方用の厨房なので夕食の仕込みも始まっています。

このレッスンは、ラッキーなことに、です。
レシピーは後から配られるということで即実技。モロカンサラダとベルベルタジンをつくりました。

サラダの作り方もプロのやり方です。切り方はやはり繊細です。かけるソースもクミンベースでシンプルでした。

驚くべきはタジンです。
嬉しい事にプチ・タジン鍋で一人分を作りました。肉も鶏か羊を選べたので、羊にしました。野菜により切り方も違いますが、とにかく種類と量がたくさんで嬉しいです。

小さなタジン鍋に肉と野菜を並べるのですが、これもセオリーがあるようです。肉を真ん中において周りに野菜を山形になるよう置いてゆきます。蓋をして五徳を置いたガス台で調理開始です。

途中で必要に応じ水も少量加え、ひたすらコトコト煮ます。(私の口に入るまで1時間少々ですね)。
勿論こちらの厨房にも圧力鍋がありました。

こちらのレストランスタッフは女性のみ、男性はサービスだけでした。
シェフは働きすぎでお疲れなのか、ちょっと休むと首に「輪っか」をあてていました。肩に背中に腰にとかなりお辛いということで…。雑談しながら完成です!

中庭に1席用意されていました。女性には必ず赤いバラのペタルを散らして演出です。
レストランスタイルで盛り付けされたサラダをいただき、メインのマイ・タジンがぐつぐつ音をたてて出てきました。何とも嬉しい瞬間です。野菜と肉からの旨みが美味しい一品でした。(ワインがあったらな~)
おまけのデザートはオレンジの「PASTILLA」。締めはふたたびミントティー。

シェフとのツーショットも。レシピーの説明や質問もひとりならではのことで大満足。充実のリヤド教室でした。

リヤドで販売されている料理本は重いので断念。帰国後、アマゾンフランスで購入しました。

★料理教室の受講料:450DH。おすすめです!

おまけのスパイス情報

マグレブ(アフリカ大陸北西部)の香辛料。
ジンジャー・ラベンダー・こしょう・カルダモン・メース・ナツメグ・唐辛子・シナモン・クローブ・フヌイユ・ニゲラなどなど、17種とか23種とか入っています。

「店の長男・家長」などと訳され、お店でブレンドも異なるようです。
私が購入したお店では「35種類」と言っていました…
また、訪れることができたらトランク一杯買ってきたい!

読んでくださった皆様、シュックラン(ありがとう)!

仁川の教室で、モロッコイベントを開催いたしました。
タジン鍋も登場して、本格的なモロッコ料理講習となりました。
美味しいレポートも是非ご覧ください。

■ ホームページ

フランス家庭料理教室「オー・コアン・デュ・フー」

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